ロシア軍によるウクライナ市民の虐殺が世界で激しい非難をあびています。ロシアは即座に否定しましたが、もはや日本や欧米では「事実」とされており、それは各国に一定数いた親ロシア的な人たちをして「もはや庇いきれん」と覚悟させるに十分なインパクトがありました。
しかし、そんな情勢でも、黙っているわけにはいかないのが特命全権大使です。ミハエル・ガルージン駐日ロシア大使は、ロシアバッシング一色の日本で、表情も変えずに流暢な日本語で、ひたすらロシア側の立場を主張し続けており、多くの日本国民から呆れられながらも、組織の事情をすべてに優先させるその模範的サラリーマンぶりが、一部で感動を呼んでいるという話もあります(ホントか?)。
開戦前の2月15日、ガルージン大使は、NHKのインタビューに応じ、「ロシアには、戦争する意図も計画もない」と語る一方で、「ロシアから軍事行動を起こすことはない」とも言っており、戦争が始まっても、ウクライナ軍への反撃だったと言い訳できる内容にしています。この日に限らず、彼の言い分はすべて、真実とは言い難いが、証拠がないので嘘とも言い切れず、外交官たるもの、たとえミエミエであっても、こういうことがしゃあしゃあと喋れるようでなければ務まらないのでしょう。
3月22日、日本とロシアの平和条約交渉について、「現状では、継続する意思はない」と発表し、外務省に呼び出されて抗議を受けましたが、まったく怯む様子がないのは言うまでもありません。
4月7日、TBS「報道特集」の取材に応じ、「我々が攻撃しているのは軍事施設だけ」「虐殺は、ウクライナ側の自作自演」「推定無罪の大原則は、どこにいってしまったのか(確かに正論だが)」と言いたい放題で、聞き手の金平茂紀キャスターは、「目の前で聞いていて、頭がクラクラした」と感想を漏らしています。
感心するのは、旧ソ連時代からロシアは重要な対日交渉等では、流暢な日本語を話す人を起用しており、ガルージンさんは、父親がソ連大使館の外交官で、1966年から5年間日本に滞在し、1982年~83年は、創価大に留学していたということです。日本は、中国やロシア、あるいは韓国に、どんな大使を任命しているんでしょうか。
「アメリカが悪い」「戦えば勝つ」と強気でしたが、開戦直前になって米国ではなく、ソ連(当時)の外相と会談し、アメリカ側の了解をまったくとらずに「戦争は回避されましたー」と発表して世界を驚かせ、いよいよ明日にも米軍がバグダッド突入か、という戦況になっても、「イラク軍大勝利」と言い張っていました。
戦争が終っても、日本外交のように(?)コロコロと態度を変えることなく、フセイン大統領について、「彼は、長年の友であり、盟友である」と最後まで庇っており、フセイン大統領が処刑(2006年12月)されると、「私の一部が死んでしまった」と涙を流して悲しんだということです。
今でこそ役立たずの日本外交(大失礼)ですが、戦前はちゃんと「役者」がいて、東郷茂徳駐ソ連大使(後に外相)は、日本軍1個師団が壊滅したノモンハン事件(1939年5月 日ソ間の国境紛争)の停戦交渉で粘りに粘り、相手方のソ連代表モトロフ外相をして、「私は職務上とにかく多くの人と会ってきたが、キミのように屁理屈を並べ、ああでもないという人間に出会ったのは初めてだ」と言わしめています。
ロシア外交のエゲツなさは、昔も今も変わりなく、ロシアの外相をゲンナリさせたのは偉業と言えますが、東郷氏は、東条英機内閣で外相に抜擢されると粘りを失い(1941年10月)、日米交渉でハルノートを突きつけられるや、これを米国からの「最後通牒」だと天皇に上奏し、開戦が決定しています。
本当に最後通牒だったかは、今でも歴史家の意見が分かれるところで、粘りようによっては、もっと引き延ばすことも可能だったと考えられますから、もしかしたら東郷氏は、地位を与えられると力が発揮できないタイプだったのか、それとも日米交渉という、ノモンハン事件の処理などとは比べものにならないほど重大な任務を与えられて、重圧に押しつぶされていたのでしょうか。いずれにしても、肝心なところで、まるでだらしないのは日本外交の伝統だと言えます(外務省に何か恨みでもあるのか?)。
今をさること10数年前、筆者がプーケットで〇〇〇の〇〇〇〇〇をやっていた頃、〇〇〇〇〇〇〇〇から、「〇〇〇〇バーツ、耳を揃えて返してもらおうじゃねえか」と言われ(伏字が多くてすいません)、ない袖は振れませんから、「勘弁してください」とお願いすると、「勘弁できねえ」と言われ、仕方がないので、「なら、解散します」と言い残して席を立ち、家に帰ってきて玉音放送用の原稿(なんだあ?)をえっちらえっちら書き上げた翌朝、先方から電話が入って勘弁してもらえることになりました。
戦争が始まって1月半が経過し、ロシア軍のあまりの弱さ(失礼)と、ウクライナ軍の善戦を鑑みれば、今後ロシアがウクライナ軍を圧倒して戦略目標の攻略に成功し、ロシアに有利な条件で短期講和というシナリオはあまり想像できず、むしろウクライナ軍がじわりじわりと反撃しつつ、ロシア側に核や生物化学兵器を使うタイミングを与えないまま国境線まで押し返す、という展開の方が現実的だと思われます。
ロシアは、国土が広く、大兵力を持つ核大国ですから、なんとなく強そうなイメージがありますが、第二次大戦後は、アフガン侵攻以外に戦争らしい戦争を戦っておらず、大戦中や大戦前、いや歴史的に見ても、けっして強い軍隊とはいえませんでした。
既に、ウクライナ軍の反攻は始まっており、南部戦線のヘルソン近辺では、ドニエプル川沿いに南下した部隊が、ミコライウから押し出してくる部隊とロシア軍を挟み撃ちにしており、有利に戦いを進めているようです。
1980年代に東欧(共産圏)を旅行したとき感じたのは、口コミ情報が凄いことです。共産党に不都合な事実や、西側の情報は伏せられていたのに、全部筒抜けでした。プーチン大統領が、いかにプロパガンダを駆使し、国民にロシア政府発表のニュースを信じさせようとしても、少なくとも軍人なら、ロシア軍苦戦、しかも7名(9名説アリ)も将官がやられた、という話は共有されているはずで、新たにウクライナ戦線に回される人たちは、かなり憂鬱な気分になっているのではないでしょうか。
しかも、キエフ近郊のように戦線が膠着しても、プーチン大統領は、5月9日には「勝ったー」と発表しますから撤退させるわけにはいかず、侵攻部隊は、勝ち目のないまま前線に張り付くことになり、食料や弾薬が尽きても戦い続ける大日本帝国陸軍状態に陥ることになるはずです(たぶん)。
日本では、停戦合意の主導権はロシア側にある、との見方のようですが、筆者は、ウクライナにあると見ています。攻め込まれているようでも、ちゃんとガードポジションはとれており、ロシア軍がへばってくるのを待っているんじゃないでしょうか。最近ウクライナが停戦交渉のハードルを上げてきたのは自信の表れで、すでに「勝てる」という意識なのでしょう。
問題は、ウクライナ側が、
・戦争前の状態(クリミア半島と東部2州の一部がロシアに奪われていた)で我慢するのか、それとも、
・ウクライナからロシア軍を完全に駆逐するまで戦うか、
で、常識的には後者ですが、ゼレンスキー大統領がどちらの道を選ぶかが、今後の焦点だと思います。
侵略を受けたウクライナはもちろん、攻撃を命じたプーチン大統領、そのプーチン氏の命令でウクライナに送られたロシア兵や将校、司令官たちとその家族、なんとか領土を取り返したいジョージア、分離独立したいチェチェン反政府派、かつてロシアに蹂躙され、この際だからロシアを徹底的に叩いておきたいポーランド、バルト三国、フィンランド、チェコ、スロバキア、板挟みのベラルーシ、経済制裁で返り血を浴びるだけでなく、戦争が拡大すれば巻き込まれる恐れのあるEUと、みな生き残りに必死で、今のところ日本に危機感はありませんが、秋から冬にかけて物価が急上昇しはしまいかと、筆者は身構えています(次の冬は越せるかなあ・・・)。
しかし、そんな情勢でも、黙っているわけにはいかないのが特命全権大使です。ミハエル・ガルージン駐日ロシア大使は、ロシアバッシング一色の日本で、表情も変えずに流暢な日本語で、ひたすらロシア側の立場を主張し続けており、多くの日本国民から呆れられながらも、組織の事情をすべてに優先させるその模範的サラリーマンぶりが、一部で感動を呼んでいるという話もあります(ホントか?)。
開戦前の2月15日、ガルージン大使は、NHKのインタビューに応じ、「ロシアには、戦争する意図も計画もない」と語る一方で、「ロシアから軍事行動を起こすことはない」とも言っており、戦争が始まっても、ウクライナ軍への反撃だったと言い訳できる内容にしています。この日に限らず、彼の言い分はすべて、真実とは言い難いが、証拠がないので嘘とも言い切れず、外交官たるもの、たとえミエミエであっても、こういうことがしゃあしゃあと喋れるようでなければ務まらないのでしょう。
3月22日、日本とロシアの平和条約交渉について、「現状では、継続する意思はない」と発表し、外務省に呼び出されて抗議を受けましたが、まったく怯む様子がないのは言うまでもありません。
4月7日、TBS「報道特集」の取材に応じ、「我々が攻撃しているのは軍事施設だけ」「虐殺は、ウクライナ側の自作自演」「推定無罪の大原則は、どこにいってしまったのか(確かに正論だが)」と言いたい放題で、聞き手の金平茂紀キャスターは、「目の前で聞いていて、頭がクラクラした」と感想を漏らしています。
クラクラした金平さんは、ウクライナ取材では、「自称リベラル」的な物言いだったが、「虐殺」後は、はっきり反ロシアに転向
ガルージンさんの言い分は、ずいぶん滅茶苦茶に聞こえますが、大使が自国の利益を優先するのは当然で、在タイ日本国大使も、一時期復権していたタクシン元首相から、国外亡命していた頃に日本から受けた仕打ち(入国不許可)について露骨に嫌味を言われたという証言があります。権力者ならヘイコラするが、失脚すれば「ただの人」は、日本外交の原則と言えるでしょう(ホントか?)。感心するのは、旧ソ連時代からロシアは重要な対日交渉等では、流暢な日本語を話す人を起用しており、ガルージンさんは、父親がソ連大使館の外交官で、1966年から5年間日本に滞在し、1982年~83年は、創価大に留学していたということです。日本は、中国やロシア、あるいは韓国に、どんな大使を任命しているんでしょうか。
ジョージア大使も日本語ペラペラ
ここぞとばかり、ロシアの悪行(北部2州の分離独立支援)をテレビで訴える
また日本政府は、ロシアの外交官ら8名の追放を決定していますが、ガルージンさんは含まれませんでした。サケ・マス漁業交渉だけでなく、ロシアと完全に切れてしまわないよう外交チャンネルを残すためで、おかげでこれからも視聴者をカッカとさせてくれることでしょう。インタビューは、ぜひ、この人にやってほしい
質問と答え、ひと粒で2度腹が立つ?
戦時の外交官といえば、この人を忘れるわけにはいきません。湾岸戦争&イラク戦争で、現実離れした極端な見解が一部で人気となったサダム・フセイン政権のスポークスマン、アジズ外相です。「アメリカが悪い」「戦えば勝つ」と強気でしたが、開戦直前になって米国ではなく、ソ連(当時)の外相と会談し、アメリカ側の了解をまったくとらずに「戦争は回避されましたー」と発表して世界を驚かせ、いよいよ明日にも米軍がバグダッド突入か、という戦況になっても、「イラク軍大勝利」と言い張っていました。
戦争が終っても、日本外交のように(?)コロコロと態度を変えることなく、フセイン大統領について、「彼は、長年の友であり、盟友である」と最後まで庇っており、フセイン大統領が処刑(2006年12月)されると、「私の一部が死んでしまった」と涙を流して悲しんだということです。
筋を通したアジズ外相
数々のトンデモ発言で欧米のマスコミから「コミカル・アル」と呼ばれた
アジズ氏は、2003年4月に米軍に投降し、親フセインの立場を崩さなかったため、2010年10月、イスラム教シーア派などへの弾圧に関与したとして「計画殺人と人道に対する罪」で死刑判決を言い渡され、本人は早期の処刑を希望したものの、2015年6月5日、心臓発作を起こして、ジーカール県ナーシリーヤのフセイン病院で死去しました。享年79歳でした。数々のトンデモ発言で欧米のマスコミから「コミカル・アル」と呼ばれた
ちなみにこちらは、
ケミカル・アリ
アリ・ハッサン・マジド元国防相は、クルド人自治区の村に対する毒ガス攻撃を命じた罪で2010年1月にあっさり処刑されていますから、アジズ氏には米国も遠慮があったのかもしれません
アリ・ハッサン・マジド元国防相は、クルド人自治区の村に対する毒ガス攻撃を命じた罪で2010年1月にあっさり処刑されていますから、アジズ氏には米国も遠慮があったのかもしれません
今でこそ役立たずの日本外交(大失礼)ですが、戦前はちゃんと「役者」がいて、東郷茂徳駐ソ連大使(後に外相)は、日本軍1個師団が壊滅したノモンハン事件(1939年5月 日ソ間の国境紛争)の停戦交渉で粘りに粘り、相手方のソ連代表モトロフ外相をして、「私は職務上とにかく多くの人と会ってきたが、キミのように屁理屈を並べ、ああでもないという人間に出会ったのは初めてだ」と言わしめています。
ロシア外交のエゲツなさは、昔も今も変わりなく、ロシアの外相をゲンナリさせたのは偉業と言えますが、東郷氏は、東条英機内閣で外相に抜擢されると粘りを失い(1941年10月)、日米交渉でハルノートを突きつけられるや、これを米国からの「最後通牒」だと天皇に上奏し、開戦が決定しています。
本当に最後通牒だったかは、今でも歴史家の意見が分かれるところで、粘りようによっては、もっと引き延ばすことも可能だったと考えられますから、もしかしたら東郷氏は、地位を与えられると力が発揮できないタイプだったのか、それとも日米交渉という、ノモンハン事件の処理などとは比べものにならないほど重大な任務を与えられて、重圧に押しつぶされていたのでしょうか。いずれにしても、肝心なところで、まるでだらしないのは日本外交の伝統だと言えます(外務省に何か恨みでもあるのか?)。
得意のノラリクラリを発揮できず戦争へ、東京裁判では、再びノラリクラリし、死刑回避に成功
対して、こちらは、
松岡洋右外相
ノラリクラリせず直情的に国連を脱退し、国民から拍手喝さいされたが、三国同盟、日ソ中立条約とつき進んで開戦への道を開く。東京裁判で死刑確実と言われながら、結核で他界、享年66歳
ウクライナに話を戻せば、虐殺を止めるためには経済制裁を強化せねばならない、というのが日本の主な論調ですが、はたして効果はあるんでしょうか。ロシア経済はデフォルト必至でプーチンの命運は尽きた、そう言い切る評論家はいるものの、筆者の経験で言わせてもらえば、デフォルトしても、なんとかなってしまうものです。ノラリクラリせず直情的に国連を脱退し、国民から拍手喝さいされたが、三国同盟、日ソ中立条約とつき進んで開戦への道を開く。東京裁判で死刑確実と言われながら、結核で他界、享年66歳
今をさること10数年前、筆者がプーケットで〇〇〇の〇〇〇〇〇をやっていた頃、〇〇〇〇〇〇〇〇から、「〇〇〇〇バーツ、耳を揃えて返してもらおうじゃねえか」と言われ(伏字が多くてすいません)、ない袖は振れませんから、「勘弁してください」とお願いすると、「勘弁できねえ」と言われ、仕方がないので、「なら、解散します」と言い残して席を立ち、家に帰ってきて玉音放送用の原稿(なんだあ?)をえっちらえっちら書き上げた翌朝、先方から電話が入って勘弁してもらえることになりました。
お役人さまー、勘弁してくだせえダー
と、犬と一緒にお願いしたが、
ならん、耳を揃えて返しやがれー
と、言われてしまった
ロシアがデフォルトしたとしても、借金のカタに戦車や核ミサイルが差し押さえられるわけでもなし、軍事力や核戦力はそのまま残りますから、「借りた金は返さねえー」とプーチン大統領が宣言して一件落着となるはずです(ホントか?)。どうしても虐殺を止めたいなら、やはり軍事力でロシアを追い込む以外ないでしょう。戦争が始まって1月半が経過し、ロシア軍のあまりの弱さ(失礼)と、ウクライナ軍の善戦を鑑みれば、今後ロシアがウクライナ軍を圧倒して戦略目標の攻略に成功し、ロシアに有利な条件で短期講和というシナリオはあまり想像できず、むしろウクライナ軍がじわりじわりと反撃しつつ、ロシア側に核や生物化学兵器を使うタイミングを与えないまま国境線まで押し返す、という展開の方が現実的だと思われます。
ロシアは、国土が広く、大兵力を持つ核大国ですから、なんとなく強そうなイメージがありますが、第二次大戦後は、アフガン侵攻以外に戦争らしい戦争を戦っておらず、大戦中や大戦前、いや歴史的に見ても、けっして強い軍隊とはいえませんでした。
第1次大戦のタンネンベルクの戦い(1914年)
結局、ロシアは最後まで負け続けドイツとブレスト=リトフスク条約(1918年)を締結して領土を大幅割譲したが、ベルサイユ条約によって失効し、もしも条約が生きていれば、この時点でウクライナは独立したか、ドイツ領になっていた
既に、ウクライナ軍の反攻は始まっており、南部戦線のヘルソン近辺では、ドニエプル川沿いに南下した部隊が、ミコライウから押し出してくる部隊とロシア軍を挟み撃ちにしており、有利に戦いを進めているようです。
西にドニエプル川があるので側面を突かれることもなく悠々と進撃
もしも、ヘルソンをウクライナ軍が奪還すれば、ドニエプル川の西からロシア軍は駆逐され、ウクライナ側が逆にクリミア半島を脅かすと同時に、マリウポリ救出へ兵を差し向けることもできますから、ここは注目点だと思います。ヘルソンが落ちれば南部のロシア軍は危ない
一方、ロシア軍は、巷、噂される5月9日の対独戦勝記念日に向けて東部戦線のドネツク、ルガンスク方面で攻勢に出るのは、ほぼ間違いなく、ここで勝負の行方がはっきりするのではないでしょうか。最後の切り札?
東部総攻撃を前に新司令官に任命されたアレクサンドル・ドボルニコフ将軍
ウクライナ側は、当然ロシア軍の動きを読んでいるはずで、正面衝突を避けつつロシア軍を引っぱり込んでおいて、自爆ドローンなどの精密兵器で補給路を叩く機動防御に徹すると考えられ(キエフ防衛と同じ戦術)、それをひっくり返す術が、はたしてロシア軍にはあるのでしょうか・・・。東部総攻撃を前に新司令官に任命されたアレクサンドル・ドボルニコフ将軍
1980年代に東欧(共産圏)を旅行したとき感じたのは、口コミ情報が凄いことです。共産党に不都合な事実や、西側の情報は伏せられていたのに、全部筒抜けでした。プーチン大統領が、いかにプロパガンダを駆使し、国民にロシア政府発表のニュースを信じさせようとしても、少なくとも軍人なら、ロシア軍苦戦、しかも7名(9名説アリ)も将官がやられた、という話は共有されているはずで、新たにウクライナ戦線に回される人たちは、かなり憂鬱な気分になっているのではないでしょうか。
しかも、キエフ近郊のように戦線が膠着しても、プーチン大統領は、5月9日には「勝ったー」と発表しますから撤退させるわけにはいかず、侵攻部隊は、勝ち目のないまま前線に張り付くことになり、食料や弾薬が尽きても戦い続ける大日本帝国陸軍状態に陥ることになるはずです(たぶん)。
撤退は許さん、死守しろーで、ロシア軍は大変なことに?
そうなると、心配すべきは、むしろロシア軍の方で、ふらふら、ボロボロ状態のロシア兵たちを・・・こんな人たちが、
皆殺しにする事態もあり得ると思います。
日本では、停戦合意の主導権はロシア側にある、との見方のようですが、筆者は、ウクライナにあると見ています。攻め込まれているようでも、ちゃんとガードポジションはとれており、ロシア軍がへばってくるのを待っているんじゃないでしょうか。最近ウクライナが停戦交渉のハードルを上げてきたのは自信の表れで、すでに「勝てる」という意識なのでしょう。
まさか下になってる方が有利だったとは・・・
問題は、ウクライナ側が、
・戦争前の状態(クリミア半島と東部2州の一部がロシアに奪われていた)で我慢するのか、それとも、
・ウクライナからロシア軍を完全に駆逐するまで戦うか、
で、常識的には後者ですが、ゼレンスキー大統領がどちらの道を選ぶかが、今後の焦点だと思います。
侵略を受けたウクライナはもちろん、攻撃を命じたプーチン大統領、そのプーチン氏の命令でウクライナに送られたロシア兵や将校、司令官たちとその家族、なんとか領土を取り返したいジョージア、分離独立したいチェチェン反政府派、かつてロシアに蹂躙され、この際だからロシアを徹底的に叩いておきたいポーランド、バルト三国、フィンランド、チェコ、スロバキア、板挟みのベラルーシ、経済制裁で返り血を浴びるだけでなく、戦争が拡大すれば巻き込まれる恐れのあるEUと、みな生き残りに必死で、今のところ日本に危機感はありませんが、秋から冬にかけて物価が急上昇しはしまいかと、筆者は身構えています(次の冬は越せるかなあ・・・)。
ロシアの各地では、こんな光景が